IV.20年を目ざして

顧問教官・部長 村上保壽(現名誉会長)

 歴史的に見るならば、ヨット部10年の歩みは創設期の歩みであり、年々新しいことへの挑戦であった。10年目の現在もこの在り方は変わってはいないと思う。ヨット部20年の完成期を目ざしてさらに新しいことへ挑戦し、全日インカレでの3位以内入賞の目標を、一歩一歩、代々の学生諸君の積み上げによって実現したいと思う。ところで、これについては問題がないわけではない。

 先ず第一に、昨年から入部学生が減少していることである。男子、女子ともに言えることであるが、現在の2年生(12期生)などは男子3名、女子1名である。昨今の学生の同好会志向と運動部に対する忌避意識は、土日の合宿を必然とするヨット部にはとくに厳しいものがある。

 第二に、監督、コーチのいないことである。このことは長所と言えばそうであるが、全日インカレで常時入賞しようとするならば考えておかなければならないであろう。その為には、OBの何名かが山口県で、しかも時間的余裕のある仕事につく必要がある。そうでないと、監督、コーチをつくる環境にならないであろう。

 第三に、全日インカレの時期と就職活動の時期が重なっていることである。従ってこの時期に4年生が退会の為の練習に専念することがなかなかできないということは、強化と上位入賞に一つの問題を投げかけている。

 第四に、強化合同合宿を従来の広島地区の大学だけでなく、九州地区の大学と行う必要がある。やはりレベルの高い大学と合宿を組むことが強化の基本である。とくに470級については早い時期に実現する必要があろう。

 第五に、インカレでの使用艇がスナイプの廃止によって、シングル艇になる可能性が大であることである。スナイプ新艇の購入計画を考えなければならないだけでなく、新しいシングル艇については少なくとも採用2年前ぐらいには購入して、準備と対策を考えておく必要があろう。

 最後に、地元の秋穂町との関係を強める為にぜひ少年ヨット教室を開設しなければならないと思う。この件については、実施すべく既に町当局と交渉を始めているが、長期的に見るならば、OBの地元就職と関連があるので、出来るだけ多くの方が高校、県庁へ就職されることを希望している。

 以上のような問題点があろうが、これまで以上に学生とOB、ヨット部と濤瀾会の一致団結によって、これからの10年の歴史を書き加えたいと思っている。

 これまでの10年間は学生諸君と卒部生諸君がさまざまな問題をかかえながら、それでもヨット部の為に、全日インカレ出場の為にと小異を捨てて大同についてくれたことが、現在のヨット部のすばらしい発展と成長につながったと思っている。これからも諸君のより一層の努力と協力をヨット部の為にお願いしたいと思う。そして、さらに10年後、OB諸君が大学を離れて10有余年をえても、ヨット部について語るとき時の流れが消え去って、一瞬あの現役の学生の頃にすべてが凝固するような思い出を重ねて行かれんことを望みます。



Copyright(C) Yamaguchi University Yacht Club
inserted by FC2 system