光り輝く!光での合宿生活

(11)監視船「ふしの」登場

5期 佐藤公治

 監視船「ふしの」は、先代の「ゼーゲルン」での教訓を土台とし、みごとな設計の上に誕生した。それでは、誕生から活躍までを順を追って記していくこととする。

<誕生>

 「ふしの」は、「ゼーゲルン」が非常に波に対して弱く、横揺れがひどい、この一番の教訓を生かし、ヨットがレースを出来る範囲の波であれば、確実に沈したヨットの救助に向かい、また、レースの本部船、監視船として、その機能を発揮しうることを土台とした。これはヨット部員が強風の下でも安心して練習できることのみならず、安全第一の考えによるものだ。

 よって、設計はチリの海上保安庁の艇を真似、キールを浅く、平底に近いようになされた。建造はFRP船として、下関の造船所にまかされた。私も何度となく会友の杉谷さんに同行させてもらい、建造の様子を見、細部の説明を聞き、とにかく立派な艇が出来る!という実感を持った。そしてついに完成となり、造船所のドックを離れ、下関から光までの処女航海に出た。船長杉谷さんの適切な指示と度胸のよさのもと、関門海峡のうず潮をかわしながら、ひたすら海岸沿いを走った。到着後、杉谷さんより、あのうず潮をかわせたのは知らないものの強みだと言われた時は冷や汗がほほを伝ったことを覚えている。

<進水式>

 いよいよ待ちに待った進水式。学長、村上先生、杉谷さん、大庭さん、ヨット部一同が見守る中、教育学部付属光小学校研修所横にて、無事に儀式を終了した。これでヨットの練習が救助船の心配をすることなく、思う存分出来ることとなる。みんなの目が一様に輝いたのは言うまでもない。

<ハプニング>

 ここに至ると筆がすすまない。進水式後、「ふしの」には大きな一つの試練が待ち受けていた。それは五右衛門船長のもと、研修所横を出港し、みんなが待ち受ける光海岸までのいつものコースを走っていく予定だったが、出港後まもなくである。艇にものすごい衝撃を感じた。エンジンストップ、後部にいた仲田君が悲壮な声を上げた。ラダーが直角に曲がっている。ただごとではない!という予感が全員の顔に表れる。ましてやその日は学務係が来ることになっていたのである。その後吉行君と光造船所への通いが始まり、引き上げ棒の調整、ペラピッチの調整などの修理を重ねた。

<活躍>

 大きな試練を乗り越えた「ふしの」は、光海面を縦横に走り回り、強風での沈艇の救助はもとより、レースの本部船、監視船として、めざましい活躍をすることとなる。そして、中国インカレにも登場し、先生、OBを乗せて宮島の海をかけめぐり、現役諸君の活躍と安全を見届けてきたのである。村上先生、杉谷さん、大庭さんに大変お世話になったことに感謝し、この項を終わります。



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