島根・鳥取強化選手との合同合宿(光にて)

6期 乗松尚樹

 あれは今を去ること4年前、我々六期生にとっては他県選手と競い合うことは初めての体験であり、いささか期待と不安の入りまじる合宿期間であった様に記憶する。我々は、すでに当面の目標である中国インカレへ向けて日夜練習に励んでいたが、光での合宿生活と言えば内々でのレースや、時折光の社会人、高校生とのレースに参戦する程度の練習しかなかった。それ故、我々なりに練習してきた実力が果たしてどれくらいのレベルにあるかを知るチャンスとして大きな期待を持って臨んだのである。

 島根、鳥取強化選手は、鳥取大生を含め総勢10数名であったと思う。第一印象としてはやはり前年来中国インカレでその実力を見せつけられているだけに、我々よりも同じ大学生でありながら一際大きく自信に満ち溢れているように見えた。全般的に合宿中の練習内容としては光高、聖光高を交えてのレース形式の練習が主体であったため、島根、鳥取の選手に我々がどの程度実力を発揮できるか結果でわかる絶好のチャンスであった。

 合同練習初日、順風西風、参加総勢20数艇、自艇と同期の山中艇の二艇は、本部船光丸ぎりぎりの上スタでスタートした。スタートは上スタ断然有利の風であり、ベストポジションでのスタート。我々二艇は他艇を寄せ付けず、トップで上マークを回航した。第二上からフィニッシュするまで、当時聖光高の脇永君に追い抜かれはしたが、マークしていた島根、鳥取の選手とは大差を付けてゴールすることが出来た。

 合同練習二日目、順風北北東の風、参加総勢20数艇、その日も高校生を交えてのレース練習だった。昨日のレース練習もあり、いささか自信を持ちそのレースに臨んだわけだが、スタート後のコースも幸いし、第一上、サイド、下と終始上位をキープすることが出来た。我が山大では他にも数艇参戦していたが、自艇以外も好成績で、特に女子部員の艇も二艇同コースを取り、集団上位でフィニッシュした。

 この他県勢との合同合宿練習を終えて感じたことは、とかく光での内輪練習では言わば「井の中の蛙」的存在になりつつあった我々にとって、日々努力を積み重ねている練習が果たして成果あるものなのかという不安を一掃できたことである。合宿期間中の我々の成果は、全てが好成績ではなかったようだが、少なくともライバルと言える他校との対戦に対等に競い合えたという事実は、我々部員一人一人にとって大きな自信となりその後の活動の大きな活力となったことは確かである。

 創立10周年という歴史から言えばほんの些細な出来事であったと思うが、少なくとも日常練習の中でこのように外界の人々と競い合い得られることの重大さを我々山大ヨット部なりに認識し、その第一歩を踏み出したことは一つの歴史的事実だと言える。今現在、目覚しい発展を遂げている山大ヨット部もその背景にはこのような他校との積極的な競い合いのもと生まれてきた活力の成果だと私は考える。



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