前田・滝本組全日出場(個戦)
8期 前田憲明
この年の中国インカレは雨の中の激闘であった。
はっきり言って私はチームの勝利を確信していたし、チームのためのレースをした。
従って個戦四位となった時は、あまり感動がなかったし実際賞状もなかった。
チームで全日に行くことだけを考えていた。
それがダメだとわかった時、私の緊張の糸もプッツリと切れた。なんとなく吹っ切れない気持ちで全日に臨んだことは、今となっては悔いを残す結果となった。
艇は乗りなれた自艇を運びたかったが、費用、人員の面でムリである。
チャーター艇で挑むことになった。
滝本と二人だけの参加である。彼は体がでかいので(私もでかいが)心細くはなかった。
宿は清水の家におじゃまさせてもらった。たいへんなもてなしを受けて感謝している。
レース当日になって広江も来てくれた。
第一・第二レースとも微風だった。
スタートはうまくいった。
特に第1レースの第1レグの途中まで、あの”日大”をおさえていたこともあった。
しかし、レグの長さはぴか一で、徐々に力の差が出てくるのである。滝本などは下マークを上マークと勘違いして報告するほどである。(スタートラインは下マークよりずっと下にひかれていたのである。)
微風でもあったが、スナイプのトップ艇は、10分前にスタートしたはずの470艇を、なんと第1マークから第2マークの間のフリーで抜いてしまうのである。
私はその時とんでもない所に来てしまったと思った。
全日連覇を目指す日大や、打倒日大に燃える同大、立命館、京大、北大、早大などの気迫にのまれてしまったのである。
ミーティングする艇は、中国代表か東北勢だった。
最終レースでは、センターボードに藻が絡まっているのも知らずに走ったり、滝本にあたったりして、完全に自分を見失っていた。
結局、私も最後は敗北感でレースを終えなくてはならなかった。
全日で思い知らされたことは、1.フリーが速い艇が勝つ。2.全日で勝つという執念を一年間持ち続けなくてはならない(中国インカレは一つの通過点に過ぎない)3.長いレグでも持続できる集中力を養うこと(ほんの一瞬でも気を抜くと大差がつく、全日のレグはメチャ長かった)以上、三点である。
とにかくレベルの違いを見せつけられた大会であった。いつの日か、後輩達に私の味わった屈辱感を晴らしてもらいたいと願わずにはいられない。